Takamori博士が語るレースの裏側ドタバタ話

【特集】スーパーGTのシートを確保する話                              2014年11月27日

Takamori博士 はかせです♪♪ 1970年北海道札幌市生まれ。1995年に北海道でレーシングカートに出会い、ミッションカートで日本全国のサーキットを転戦するほどレースにハマル。2008年に四輪レースへ初参戦。わずか5レースのキャリアでSUPER GT GT300クラスへ参戦したツワモノ。レーシングドライバーと言うよりも、まるで走るエンジニア。夢はいつか自分のマイカーを持つこと。実はサーキット以外で車を運転することが無い変わったレーシングドライバー?!なのです。



皆様、こんにちは、Takamori博士です。

今年も早いものであと3日で12月がやってきます。もうすぐクリスマスの時期です!!ケーキの予約は済みましたか?

早いものでこのモタスポブログも気がつけば1年以上も続いているのです。自分でも驚きです!!更新頻度は低いですがノンビリとマッタリとモータースポーツについて優しく解説する癒し系のブログの一つとして頑張って書いています。。。

元々、北国育ちのTakamori博士は、生まれつき飽きやすい性格をしているため、基本的に三日坊主です。『毎日ハンバーガーとフライドポテトを食べる!』と言う事を除いては、何をしても長続きしないのです。きっと南国で生まれ育っていたら、四日坊主くらいにはなれた気はします。


まぁ、そもそも飽きやすい性格は親からの遺伝なので仕方がないのです。ボクの責任じゃないから、文句があるなら、札幌のお母様か?天国のお父様に言って下さいませ。ボクに言われても困ります。カエルの子はカエルやオタマジャクシですが、トンビはタカを生まないらしいので、全ての責任は親にあると言うのがワタクシノ主張でゴザイマス。

なんでも『三つ子の魂、百までも』と言うように、子供からお付き合いしている自分の性格は簡単には治らないのです。でも、知り合いのお医者さんから『風邪を治す薬より、性格を変える薬』の方が簡単らしいよ!と聞いた事あります。。。

そもそも薬を使わなくても、お灸を据えたり、針で突っついたりすると性格は治るそうです。

では、前フリはこの辺で、、、本題の話に入りましょう!


えーと、今回は、『スーパーGTのシートを確保する話』を書こうと思います。でも残念ながら、GT500のシート確保の方法はボクは知りませんので、もうちょっと細かい表現をすると、『GT300のシートを手に入れる方法』について書こうと思います。

簡単に言うと、GT300に出場しているチームにどうやって潜り込むか?と言う事ですが、やはり、どんな場合でもツテが無いと難しい世の中なのであります。

入門フォーミュラーレーシングスクールでいくら優秀な成績を収めても、スーパーGT300チームの権力者(ドライバーのシートを決めるエライひとの事)は、そんな事を知らないのです。つーか、微塵も興味を持っていないのです。

ですから、何の紹介も無く、”ボクは○○○のチャンピオンです!!”と、GT300シートの交渉に行こうものなら、、、『あんた、誰?』状態になるのは必須です。なので、ちょっと知恵が回るドライバーなら、知り合いを辿って、その権力者に紹介してもらう作戦を実行してみるべきです。

さて、なんとかアポが取れたところで、あなたは何を言うのでしょうか?

ボクの経験上、『話を聞かせてください!!』とGT300チームにドライバーがやって来る事が多いそうですが、、、それって変ですよね??? どこのチームもアナタに興味が無いのに、話したい事なんて一つも無いはずです。ましてや、話を聞くのもイヤなのに、、、

なので、最低限、自分の事を説明するマニュアルくらい(経歴書)は用意して面接に行くべきでしょう!!内容は自由形式で良いと思いますが、相手が興味持ってくれる内容を書かなくてはいけません。


■NGな経歴書
ボクは速いです。とっても速いです。GT300のドライバーになってあげても良いです。ライセンスはありません。レースに出たこともありません。しかし、やる気は人一倍あります。スポンサーはありません。ぜひ、テストドライバーで良いので雇って下さい。ギャラは幾らくらい貰えますか???

■すばらしい経歴書
ボクはお金持ちです。いくら払えばGT300のシートを売ってくれますか?マシン代は6000万円までなら自分で払います。レース運営費用も1億円までなら全額お支払いします。スポンサーも5社ほど紹介します。相方はチャンピオンドライバーが良いです。相方のドライバー雇用費用も自分で払います。テスト費用も全額払います。クラッシュした場合は自費で修理しますのでご安心下さい。どうか一つよろしくお願いします。

と言った感じでしょうか、、、
【NGな経歴書】は沢山見たことがありますが、【すばらしい経歴書】は正直一度も見たことがありません。でも、レースをするのにお金が掛かるのは周知の事実ですから、チームとしては、【すばらしい経歴書】はかなり魅力的な話に聞こえるのも事実です。


■現実的な話
チームにスポンサーが付いていて、ある程度の年間経費がスポンサーから賄われている場合、チームに欲しいのは、【速いドライバー】+【スポンサーを取れるドライバー】の組み合わせになることが多いのです。チームとしては、結果を出さないとスポンサーに満足してもらえないし、、、といっても懐実情的には運営費用が足りないからスポンサーを引っ張ってこれるドライバーも欲しいし。。。と言ったところでは無いでしょうか???

なので、うがった見方(チームの経済状況視点)からチーム編成を分析すると面白い人間関係が見えるかも知れません。。。また十分なスポンサー資金がチームに潤沢に供給されている場合、【速いドライバー】×2が許されますので、レースに参戦したことの無い素人から見ると『やる気』を感じるのかも知れません。

しかし、レースをするのに莫大な資金(年末ジャンボの1等じゃ足りないからね。)を集めようとする時点で、どこのチームも『やる気』はスゲーあるんです。家やマンションはローンで買えますが、レーシングカーをローンで買える話は聞いたことがないので、『気合』、『やる気』、『情熱』がなければレースなんてやれないのです。

そもそもマシンを買っただけじゃ、レースなんてできませんから・・・・・・・


■そこで作戦を立てると?!
GT300チームで欲しいドライバー人材について、なんとなく見えてきたと思います。つまり一言で表現すると、チームの資金事情に合ったコストパフォーマンスに優れたドライバーが欲しいのです。

なので、チームの特色によって色んなドライバーが存在して良いはずです・・・
1)速くてスポンサーを満足できるドライバー
2)速くてスポンサーを取れるドライバー
3)遅いけどスポンサーを取れるドライバー
4)スポンサーが沢山付いているドライバー
5)速くて壊さないドライバー
6)強くてやっかいなドライバー
7)速いだけのドライバー
8)スポンサーは無いけどレース経費を払ってくれるドライバー
9)任せて安心感のあるドライバー
10)面白そうだから乗せてみようか?的なドライバー
11)チームオーナーがドライバー
12)誰も適任者がいないから経歴から消去法で選ばれたドライバー

さて、あなたはどんなドライバーを目指すのでしょうか???


■遅さのモノサシ
で、うがった見方をすると、ドライバーは遅いより、速いに越したことは無いですが、別にドライバーは、速くなくても良いのです。SUPER GTに出ているドライバーって基本的に全員スッゲー速いから、ちょっとくらい速いドライバーでも遅く見えてしまうのです。。。

なので、乱暴な言い方をすると、ドライバーは遅くても良いのです!!

しかし、ここで注意しなくてはイケナイのは、”遅いドライバー”の定義です。SUPER GTは、国内最高峰のカテゴリーですから、ホントにスゲー遅くてはイケナイのです。

遅さにもモノサシは必要で、1)ワンメイクレースでコースレコードを持っている。 2)JAF公式戦シリーズチャンピオン! 3)GTでドライバーポイントを獲得した事はある。くらいの遅さです。なので、皆さん、ナメてサーキットで一緒に走ると驚くほど速いかもしれません。。。

いちど、SUPER GTに出場しているドライバーの経歴やステップアップのルートを調べると、意外な一面が見えるかも知れません。あーそうなんだ。。。と、皆さん猛者ばかりでございます。。。


■売り込みの時期
さて、自分の特徴がハッキリとしているなら、自然と売り込みに行くGT300チームも自ずとハッキリすると思います。では、いつくらいに?売り込みに行けば良いのでしょうか???

答えは簡単です。

SUPER GTのレースエントリーは1月で締め切られるので、自動的にそれより前って事が分かります。エントリーする時には、おおよそドライバーって決まっていますから・・・

なので、1月を過ぎたら、どこかのチームの第3ドライバーシートを狙うしか方法は無いのです。でも、チーム、スポンサー、ドライバーの利害を合致させる事は、すごく難しいので、簡単には第3ドライバーは決まりません。少しでも条件の良いドライバーをチーム・スポンサーは探しているのですから。。。


■裏ワザ?
どうしてもGT Driverになりたいのなら裏ワザ的に思いつく方法が一つだけあります。それはマシンオーナーになる方法です。12月中に自分でFIA GT3マシン(MY2014 or MY2015)を1台買って来て、1月までに既存のチームから2台目をエントリーをしてもらうのです。

で、自分がドライバーになり、参戦費用を集めて、相方のドライバーを募集するのです。つまり、自分のお財布で全ての費用を負担する方法です。1月中にSUPER GTのエントリーは締め切られるので、SUPER GTに出場したければ、それまでにマシンとドライバーを用意しなくては参戦できないのです。。。


■最後に
さて、最後に一言。
SUPER GTドライバーになりたい方が、本気でこのブログを読んではイケマセン。読んでる時点でドライバーになれる確立は2%くらいでしょうか?簡単にはなれないのがSUPER GTドライバーなのです。個人的な主観で言うと第3ドライバーになる難しさの20倍以上、レギュラードライバーのシートを獲得する方が難しいのです。ボクはレギュラードライバーのシートを獲得するのに、おおよそ2680時間×IQ125=312500IQh考えましたから。。。ヒトの話を聞いてマネ出来るほど簡単じゃないと思います。。。。

考え抜いた末に、ボクが出した結論は案外と単純でした。『自分の実力じゃ、SUPER GTドライバーになるのは不可能!』でも、それが明確に分かったから、自分の実力じゃ無理なのだから、自分の周りの人達の実力で勝負すれば可能性はまだあるよね???と、周りの人の実力におんぶさせたり、ダッコさせてもらったのです。。。



このページは2013年~2015年まで、AUTO SPORTS webホームページに
投稿されていたモタスポブログ(2014年11月27日)を再編集したものです。